「太陽光発電はやめた方がいい」と言われる理由とその対策|10年後はどうなる?
省エネ住宅に欠かせない「太陽光発電」の設置を今後義務化する自治体も出ている中、インターネットなどで調べると“やめた方がいい・やめとけ”という強いキーワードを目にします。
自然エネルギーを家庭で活用できるメリットがあるにもかかわらず、なぜそのように言われてしまうのでしょうか。
今回は、住宅用太陽光発電を「やめた方がいい」と言われる理由とその解決策、後悔しないためのチェックポイントを紹介します。
ご自宅の新築を検討している方や省エネ住宅に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
コラムのポイント
- ●太陽光発電をやめた方がいいと言われる理由は、費用・設置環境などにあります。
- ●太陽光発電の設置を検討する際は、メリットとデメリットの両方を知り、ご自身の条件に合っているか確認しましょう。
- ●太陽光発電を後悔しないためには、豊富な知識と施工実績のある建築会社へ相談することが重要です。
目次
住宅用太陽光発電の最新普及率
日本における戸建住宅への太陽光発電普及率は「11.6%」です。(参考:環境省|令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値))
令和2年度は「12.3%」だったので、前年比−0.7%という結果になりました。
約12%を多いと感じる方もいるかもしれませんが、政府の掲げている目標にはまだまだ遠く及びません。
経済産業省・国土交通省は、2030年までに家庭部門の総発電量36~38%を再生可能エネルギーでまかなうために、新築戸建て住宅の6割において太陽光発電設備が導入されることを目標としています。
(参考:国土交通省|住宅・建築物の省エネルギー対策に係る最近の動向について)
国土交通省の資料では、戸建住宅における住宅用太陽光発電の使用率は、2011〜2015年に建てられた住宅が「30.5%」だったのに対して、2016年以降に建てられた住宅では「22.2%」と、普及スピードが停滞し始めているのが現状です。(参考:環境省|令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値))
東京都や京都府など一部の自治体では、新築戸建て住宅への太陽光発電設置義務化を打ち出していますが、既存住宅や太陽光発電に適さない住宅は義務化対象外です。(参考:東京都|2025年4月から太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります)
このように、政府の思惑とは裏腹に、住宅への太陽光発電普及はあまり進んでいません。
住宅用太陽光発電の普及が進まない要因の一つとして、国土の狭い日本では敷地の環境によって十分な発電効率が得られず、また地域によっては天候による効率低下も想定されることが挙げられます。
このように、太陽光発電の導入を検討する際は、後悔してしまう理由を知って、住まいが太陽光発電に適しているかを見極めることが重要です。
「太陽光発電はやめた方がいい・後悔した」その理由と対策|10年後・交換
住宅用太陽光発電を「やめた方がいい・後悔した・おすすめしない」と言われるには、はっきりとした理由があります。
太陽光発電の性質上、どの場所・環境・使い方でも同じようなメリットが得られるとは言えない点に尽きるでしょう。
太陽光発電の導入を検討している方は、デメリットとその対策を知っておくことが重要です。
では、“やめた方がいい”と言われる理由を1つずつ解説します。
初期費用が高い
最も大きなデメリットは、設置費用です。
太陽光発電システム1kWあたりの導入費用は「平均約28万円」なので、まとまった費用がかかります。
(設置容量) | (設置費用目安) |
---|---|
3kW | 84万円 |
4kW | 112万円 |
4.5kW(全国平均) | 126万円 |
5kW | 140万円 |
家庭用蓄電池も同時に設置するとなると、さらに本体+工事費で80〜200万円程度かかります。
そのため、現実的に考えて導入を断念する方が多く、導入しても後悔してしまう方がいるのです。
太陽光発電を導入する場合は、建築会社や機器メーカーにコストパフォーマンスを踏まえたシミュレーションを出してもらいましょう。
条件が揃えば、設置費用負担を“実質0円”にできる方法もあるため、併せて検討してください。
(参考:環境省|太陽光発電に導入支援サイト)
メンテナンス費用・交換費用がかかる
2017年にFIT法が改正されて以降、住宅用太陽光発電システムは、定期点検などのメンテナンスが義務化されています。
安定的かつ効率的に発電量を確保するためには、保守点検や維持管理が欠かせないからです。
点検をご自身でするの難しいため、専門家に依頼する必要があり、1〜2万円/回程度かかります。
住宅用太陽光発電(10kW未満)は、最低でも4年に1度以上の点検が義務付けられており、不具合が見つかれば、別途部品代や工事費がかかり、パネルが汚れていれば故障や発電量低下につながるため、清掃も必要です。
そして、忘れてはいけないのが各機器の交換費用です。
(機器) | (寿命目安) | (交換費用目安) |
---|---|---|
家庭用蓄電池 (リチウムバッテリー式) | 15〜20年 | 70~200万円 |
パワーコンディショナー (発電した電力を家庭用に変換する機器) | 20年 | 20〜30万円 |
太陽光パネル | 20〜30年 | 30〜80万円 |
家庭用蓄電池は必ずしも必要な機器ではないものの、太陽光パネル・パワーコンディショナーがなくては、家庭で発電した電力を使えません。
太陽光発電システムは初期費用だけでなくメンテナンス費用・交換費用もかかります。
そのため、10年後・20年後に発生するコストも把握しておきましょう。
売電価格だけでは投資費用を回収できない
FIT法によって「固定価格買取制度」が設けられているため、設置してから10年間は、電力会社が一定価格で余剰電力を買い取ってくれます。
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。
電力会社が買い取る費用の一部を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。
この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます。
(引用:国土交通省|FIT・FIP制度|固定価格買取制度とは)
ちなみに、環境省の調査によると、2023年の年間売電収入平均額は「10.7万円」でした。(参考:環境省|令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値))
つまり、「太陽光発電平均容量4.5kW=設置費用126万円」の場合は、初期費用回収までにおよそ12年かかるということです。
これだけ見ると、売電価格で投資費用を回収できるように思いますよね。
ところが、このシミュレーションには12年の間にかかるメンテナンス費用や部品交換費用が加味されていませんし、電力会社の買取価格は年々下がっているのが現状です。
政府は、2030年度までにこの買取価格を7円/kWhにするとしているため、これから太陽光発電を導入する方は、売電額も必ずチェックしてください。
そして、設置から11年目以降の買取価格は保証されていない点も重要な注意点です。
売電価格が低下している現状を踏まえると、太陽光発電の初期費用は、売電価格で回収しようとせず、“自家消費”での回収を目指すことをおすすめします。
「太陽光発電+住宅の高断熱仕様+省エネ設備」の条件が揃っているZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)」でしたら、電気の“自給自足”も夢ではありません。
電力会社から購入する電力が高騰しているからこそ、自家消費を意識することが重要です。
夜間・不在時に活用できない
太陽光発電システムそのものには蓄電機能がないため、単体では夜間利用できません。
雨天時も同様です。
つまり、夜間時や雨天時には電力会社から電力を買わなくてはいけないということです。
不在時に発電した電力を蓄えて置けない点も大きなデメリットです。
電気を多く利用するご家庭は、家庭用蓄電池とセットでの導入を検討してください。
余剰電力を売らずに夜間利用分に充てられるため、電力会社からの購入量を減らせますし、停電時にも自家発電で日常生活を継続できます。
ただし、電気をあまり使わない家や一人暮らしの家は家庭用蓄電池の初期費用で損してしまう可能性もあるため注意してください。
発電に適した環境でなければメリットが少ない
太陽光発電は、全国どこでも同じように発電できる訳ではありません。
場所によっては、導入したメリットをあまり実感できない可能性もあります。
・晴天率の高い地域
・積雪量が少ない地域
・住宅が密集しておらず、隣家と一定の距離が保てる土地
・周囲に高い建物があまりなく、屋根が長時間日陰になるリスクが少ない土地
・雨天率や曇天率が高い地域
・積雪量が多く、長期間屋根に雪が積もる地域
・住宅が密集していて屋根が日陰になる土地
・周囲に高い建物があり、屋根が長時間日陰になる土地
実際に、環境庁が公表している地域別住宅用太陽光発電使用率を見ると、曇天率の高い北陸や、積雪量の多い北海道は特に低い割合です。
住宅用太陽光発電はどの場所でも同じ条件で設置した方がいいとは言えないため、地域特性や周辺環境を踏まえて導入を検討しましょう。
その際には、施工実績が豊富な建築会社や、太陽光パネルメーカーに相談することをおすすめします。
近所トラブルになるリスクがある
太陽光パネルを設置する家で問題となっているのが、反射光による近所トラブルです。
住宅地を中心に、「カーテンを開けると、隣の屋根から反射する光が眩しい」という事案が起きています。
主に反射光トラブルが発生するのは、太陽光パネルを発電効率の悪い東西面や北面に設置した場合です。
ただし、建築会社はまず最も発電効率の良い南面から設置を検討しますし、北面に設置する場合は隣家との距離が離れているか、前面道路で前が開けているかを確認し、反射光で周りに迷惑をかけないか検討した上でプランを決めます。
そのため、住宅用太陽光発電が普及し始めた昨今においては、新築住宅で反射光トラブルが起きるケースはごく稀です。
反射光によるご近所トラブルが心配な方は、設計施工実績が豊富な建築会社へ相談しましょう。
立地環境に合わせて最善のパネル設置場所を提案できます。
太陽光発電を「やめた方がいい」ケース
太陽光発電の家を後悔しないためには、以下の点がとても重要です。
- ・売電することが中心ではなく自家消費できるライフスタイルかどうか
- ・電力を極力買わずに済むほどの発電量を見込める敷地条件かどうか
- ・太陽光発電の初期費用やメンテナンス費用に無理はないか
- ・太陽光発電のデメリットを抑えてメリットを活かせるプランかどうか
これらのポイントを踏まえ、太陽光発電に適している環境かどうかを見極めましょう。
・晴天率が低く、隣家との距離が近かったり、背の高い建物に囲まれている土地
・あまり電気を使わない暮らしや一人暮らしを送っていて、これまでも電気料金がそれほど高くない方
・住宅の新築コストを少しでも抑えたい方
・晴天率が高く、土地にゆとりがあって周辺建物と距離が確保できる日当たりのいい土地
・消費電力量が多く、月々の電気代が高いと悩んでいる方やオール電化にしたい方
・電気自動車に乗っている(購入予定である)方
・環境負荷の少ないエコハウスにしたい方
・停電時でも日常生活を送りたい方や在宅避難を希望する方
このように、太陽光発電に適している方とそうでない方の特徴は大きく異なります。
そのため、まずはご自身のライフスタイルや住まいに対して求める条件、建築予定地の環境をチェックして、太陽光発電の導入を検討してください。
太陽光発電のメリットにも注目を
太陽光発電は、“どこでも誰にとっても”いいものではありません。
ただし、大満足している方がいらっしゃるのも事実です。
ぜひ、太陽光発電のメリットについても、改めて考えてみてください。
「環境にやさしい」
普及率が高まるほど、CO2排出量の多い火力発電や災害リスクの高い原子力発電への依存から脱却できます。
「家計にやさしい」
電力会社から電力を買わず自給自足に近づけられる上に、補助金や税控除の対象になります。
「災害に強い」
家庭用蓄電池や電気自動車と組み合わせると、停電時でも日常生活を継続できます。
これらのメリットを得られるかどうかは、土地の条件次第です。
そのため、新築住宅へ太陽光発電を導入するか迷っている方は、その土地が設置に適した環境かどうかを正しく見極められる建築会社に相談しましょう。
太陽光発電・ZEHの施工実績が豊富なクレアカーサへご相談を
太陽光発電を後悔しないためには、設置に適した環境かどうか判断しなくてはいけません。
また、家庭用蓄電池などの関連設備や、消費電力を抑えるために欠かせない住宅の断熱性についてなど、総合的な知識も必要です。
そのため、ZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)の施工実績が豊富な会社へ相談しましょう。
ZEHとは、エネルギーの収支を±ゼロ以下にできる家、つまり、「消費電力を最小限に抑えるための高い断熱性」+「消費電力の少ない高性能設備」+「電気を創り出す太陽光発電」を備えてた住宅です。
クレアカーサでは、今まで数多くのZEH住宅を手がけてきた実績があります。
●クレアカーサは高い住宅性能と省エネ住宅の普及などに対して評価を受け、「ハウス・オブ・ザ ・イヤー・イン・エナジー」において 3年連続優秀賞をダブル受賞、「省エネ住宅優良企業賞」も受賞しました。
●ZEHビルダー評価制度において最高ランクの6つ星に認定されました。(全国ZEHビルダー5,491社のうち、6つ星を取得したのはわずか557社のみ)
●2016年4月からスタートしたBELS省エネ表示制度において、クレアカーサのZEH仕様は星5つ「★★★★★」と最高ランクです。
「太陽光発電を設置するか迷っている」「省エネ住宅を建てたいがどんな家にすればいいか分からない」という方は、どうぞお気軽にクレアカーサまでご相談ください。
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