〈建物の耐震・制振・免震〉特徴やメリット・デメリット、違いについて解説|施工事例も

耐震・免震・制振の違いと施工事例

地震の多い日本においては、住まいへの対策は欠かせません。

最も知られているのが「耐震設計」ですが、そのほかにも「制振・免震」という方法があります。

ところが、それぞれの違いやメリットを知らない方も多いでしょう。

そこで、今回は「耐震・制振・免震」の違いやそれぞれのメリット、“地震に強い家”にするための方法を紹介します。

私たちクレアカーサが手がけた地震に強い家の施工事例も紹介しますので、「何世代にも渡り住み継げる家にしたい」「安心安全な住まいにしたい」という方は、最後までぜひご覧ください。


コラムのポイント

  • ●「耐震・制振・免震」は、どれも建物を地震から守るための工法ですが、アプローチに違いがあり、メリット・デメリットも異なります。
  • ●コスパの良い地震への備えには「耐震+制振」の方法がおすすめです。
  • ●クレアカーサは、千葉県・茨城県で「敷地の条件」「予算の条件」「家族の条件」全てを実現できる「災害に強い家」づくりを行っています。



耐震・制振・免震の違い|特徴とメリット・デメリット

免震・制震・耐震の違いは地震対策のアプローチ

建物を地震力の影響から守る方法が、「耐震」「制振」「免震」です。

どれも、揺れによってもたらされる建物の破損・倒壊リスクを軽減するための技術ですが、その考え方や地震力の受け流し方が異なります。

では、それぞれの特徴とメリット・デメリットを見てみましょう。

耐震=建物強度を高める方法

住宅においては最も一般的な方法である「耐震」。

こちらは、「建物強度を高めて、破損・倒壊・半壊の可能性を下げる」方法です。

木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造で細かい工法は異なりますが、全てに共通しているのが以下の3点です。

  • ①垂直方向と水平方向からの揺れに対抗して建物の強度を維持できる「耐力壁」をバランスよく配置する
  • ②柱や梁、その他の横架材の「接合部」を耐震金物などで強固にして脱落を防ぐ
  • ③柱と梁で構成された4点の対角線に「筋交(すじかい)」を斜めに取り付け、水平方向の抵抗力を高めて、変形を防ぐ


これらは、建築基準法にも明確な規定があり、最も古くから採用されている信頼性の高い方法です。

そのため、戸建住宅から大規模建築物まで、建物規模問わずに幅広く採用されています。

メリット・建物規模や敷地面積、建物形状による制限がない
・制振や免震と比べてコストがリーズナブル
・既存建築物の改修としても施工できる(耐震補強できる)
・横からの力に抵抗できるため、耐風圧性も高い
・歴史が長いため、実証データが多い
デメリット・地震力が建築物へ伝わるのを防げない
・家具の転倒や建物の損傷までは防げない
・少しずつ加わった地震力によって、年数が経つと性能低下の可能性がある
・建物高さが高くなると重心が上がり、横揺れの影響が大きくなる



制振=地震の揺れをダンバーで吸収する方法

制振工法が用いられている建物は、ダンパーなどの制振装置によって「地震力の一部を吸収・消散させる」方法です。

制振とは
(引用:一般社団法人 日本免震構造協会


制振装置によって建物本体に伝わる地震力を軽減できるため、歪みなどの変形や家具の転倒による二次被害リスクを抑えられます。

制振装置は、建物規模によって主に4パターンを使い分けます。

  • ①金属の変形によって地震力を熱エネルギーに変換させる制振装置
  • ②オイルなどの粘性抵抗を利用した制振装置
  • ③ゴムなど柔らかい材料の変形性を利用した制振装置
  • ④金属などの摩擦抵抗を利用した制振装置


これらを、筋交・壁の内部・間柱部分に設置します。

元々はビルなどの大規模建築物へ採用されていた方法ですが、近年は戸建住宅への導入事例が増えています。

メリット・建物に伝わる地震力が小さくなるため、建物の破損リスクを軽減できる
・免震と比べてコストがリーズナブル
・建物規模や敷地面積、建物形状による制限がほとんどない
・地震力が建物へ蓄積されにくい
・既存建築物の改修としても施工できる
・横からの力にも抵抗できるため、耐風圧性も高い
・基本的に制振装置の取り替えは不要
デメリット・制振装置だけでは地震への抵抗力が不十分
・軟弱地盤や砂質地盤などでは効果が低い
ポイント

制振技術は、主に「耐震補強の方法」として採用され、単体で用いられるケースはほとんどありません。


免震=建物と地盤を切り離す方法

「免震」とは、地盤と建物の間に免震装置を設置して、「建物を切り離して伝わってくる地震力を減らす」方法です。

免震とは

(引用:一般社団法人 日本免震構造協会

地震が来ると免震装置がゆっくりと揺れ出して、地震力をかわすのです。

免震装置によって地震力の大半が建物本体に伝わらないので、損傷や破損のリスクを抑えられ、家具の転倒も防止できます。

免震装置は、主に2種類です。

  • ①揺れを伝えにくくして地震後は建物を元の位置に戻す「支承」装置
    (例:積層ゴム支承、すべり支承、転がり支承)
  • ②建物本体の揺れを抑える「ダンパー」
    (例:鉛ダンパー、鋼材ダンパー、オイルダンパー)


免震建築物には、建物規模や形状によって「支承」と「ダンパー」を組み合わせて設置します。

制振工法と同様に、元々は大規模建築物へ採用されていましたが、最近は戸建住宅へも用いられています。

メリット・特に横揺れに対して効果がある
・建物に伝わる地震力が小さくなるため、建物の破損リスクを軽減できる
・大規模地震の力も軽減できる
・建物高さによって効果はあまり変わらない
デメリット・建物を水平工法にスライドさせる方法なので、縦揺れには弱い
・建物下(地下)に免震装置を設置するため、工事のコストが高い
・地下室を作れない
・建物の周りに余裕のある敷地でないと施工できない
・既存住宅へは採用できない
・免震装置の定期メンテナンスが必要





【施工事例】コスパがいいのは「耐震・制振」の合わせ技

地震に強い家は「耐震+制振」

「耐震・制振・免震」は、どれも建物を地震の被害から守るために有効な方法です。

しかし、全てを取り入れるとコスト面で負担がかなり大きくなります。

そこで、一般的に戸建住宅へ採用されているのが「耐震」と「制振」の組み合わせです。

耐震+制振システムで地震被害を抑える



建築基準法で定められている耐震レベルは、あくまでも“最低条件”であり、決して十分ではありません。

耐震工法に加えて制振システムを取り入れることで、互いの弱点を補填し合えます。

  • 耐震工法だけでは防ぎきれない地震力を制振システムで軽減し、建物へのダメージ蓄積を抑える
  • 制振システムだけでは防ぎきれない建物の破損を、耐震工法の強固な構造で軽減する
  • 既存住宅のリノベーションでどちらも追加できる


ポイント

昨今増えている太陽光発電システムを備えた住宅は、屋根に大きな荷重がかかるため、耐震工法に加えて制振システムを取り入れるのがおすすめです。


では、クレアカーサが手がけた「耐震工法+制振システム」の採用施工事例を紹介します。

シンプルな片流れと広々としたLDKが魅力的な住宅

耐震+制振住宅の設計施工事例

こちらは、平屋建て住宅に制振システムを採用した事例です。

玄関を入ると大きな収納スペースと手洗いがあり、その間を抜けるとオープンキッチンが主役の広々としたLDKが広がります。

耐震+制振住宅の設計施工事例

上階の荷重がかからない平屋建ては、特に地震に強いと言えます。

そこへさらに制振システムを取り入れることで、より安心して住み続けられるマイホームが実現できるのです。



アメリカンな白い外壁が印象的な住宅

耐震+制振住宅の設計施工事例

白いサイディング張りの外壁とライトブルーの窓枠が目印のこちらの事例は、1階の半分がLDKです。

このような開放的な空間が実現できるのは、高い耐震性と制振システムがなせる技と言えるでしょう。

耐震+制振住宅の設計施工事例

LDKは、大きな開口部を介して、アウトドアリビングとして活用できるテラスと一体的に使えます。



開放的で気持ち良い吹き抜けのある住宅

耐震+制振住宅の設計施工事例

こちらは、1階の空間をなるべく区切らず、LDKから続くウッドデッキとの一体感をコンセプトとした事例です。

リビングに腰掛けて上を見上げると、リビング階段のあるダイナミックな吹き抜けによって開放的な気分に浸れます。

耐震+制振住宅の設計施工事例

アウトドアリビングとLDK、1階と2階がそれぞれ緩やかにつながるため、自然の心地よい風と家族の気配を両方感じられる暮らしを実現したい方におすすめです。


ポイント

クレアカーサでは、「災害に強い家」をコンセプトに、耐震・制振に加えて、停電時への備えや防犯面にまで配慮したデザイン住宅を数多く手がけています。




カタログ問い合わせ
※資料送付は建築ご予定地が千葉県・茨城県のお客様に限らせていただきます。
あらかじめご了承ください。


クレアカーサの安心・安全な「地震に強い家」6つのポイント

平屋建てが災害に強い理由

クレアカーサでは、お客様が安心・安全に末長く暮らしていただけるように、「地震に強い家」を数多く手がけてきました。

そこで、私たちが自信を持ってご提供する「地震への備え」6つのポイントを紹介します。

耐震等級3が標準仕様

クレアカーサの住宅は耐震等級3が標準仕様

クレアカーサの住宅は、建築基準法で定められている耐震等級1の約1.5倍の耐震性能である「耐震等級3」が標準仕様です。

耐震等級3は、消防署や警察署など重要な建物と同等のレベルで、長期優良住宅の最低条件である耐震等級2を上回る強さを兼ね備えています。

高密度な配筋のベタ基礎

地震に強いベタ基礎

クレアカーサの住宅は、も鉄筋の間隔を従来の300mmから150mmへ狭めて強度を高めた「ベタ基礎」を採用しています。

面で建物荷重を支えるため、安定性が高く耐震にも効果を発揮します。

また、基礎立上りを150mmとし、シロアリが土壌から建物へ上がりにくい工夫をしている点もポイントです。

防虫性の高いヒノキ土台

防虫性耐久性が高いヒノキ土台で地震対策

ヒノキに含まれる香り成分には、カビ・腐敗菌の増殖やシロアリの繁殖を抑える効果があり、精油成分によって高い防水性を持ちます。

クレアカーサでは、家の強度を左右する土台に、良質なヒノキ材を採用しています。

腐りにくくシロアリ被害を抑えられるため、家を長持ちさせるのに有効です。

軸組み+パネル工法

パネル+軸組構法で横からの地震力に抵抗

軸組+パネル工法は、在来軸組工法の構造強度を担う「軸組」と、木造枠組壁工法の構造強度を担う「パネル」を組み合わせたハイブリッドな工法です。

それぞれの強みを組み合わせることで、地震による力を“フレーム”と“面”で分散させられます。

格子剛床構造

格子剛床構造で地震による家の変形を防ぐ

地震によって建物にかかる水平方向の力は、床に加わり、そこから柱、基礎へと移動して、地面へ逃げて行きます。

そのため、地震による床の変形を抑えるために、強固な床は欠かせません。

クレアカーサでは、床の剛性を高めて“面”で地震力を受け分散させる工法を標準仕様としています。

制振システム(オプション)

制振+耐震で地震の被害を最小限に抑える

クレアカーサの家は、標準仕様でも高い耐震性を確保できますが、さらにワンランク上の“安心”をプラスしたい方には、「制振システム」がおすすめです。

日本制震システム株式会社の装置を採用し、建物に伝わる地震力を最大で48%吸収し、建物の損傷を最小限に抑えます。

▶︎詳しくはこちらのページをご覧ください


災害に強い家はクレアカーサに
設計プランのご相談はクレアカーサまで
住まいづくりの資金計画はクレアカーサにご相談を



茨城・千葉で高性能住宅を建てたい方はクレアカーサへ相談を

全館空調の家は実績豊富な会社へ相談を

「地震に強い家」を建てるには、高い耐震性に加えて、制振技術をプラスするのがおすすめです。

そのため、家づくりを後悔しないためにも「耐震+制振工法」の施工実績が豊富な会社へ相談しましょう。

そして、快適な生活には高気密高断熱性も欠かせません。

クレアカーサの住宅は、断熱性(UA値)が「ZEH」相当、エリアでは函館クラスの断熱性能を有しています。※間取り等により誤差があります。

そして、オプションアイテムとして、「制振システム」だけではなく、「床下用エアコン+全熱交換型換気システムを連動させた全館空調システム」をご用意しております。


茨城・千葉でおしゃれな家の新築を検討中の方は、施工実績が豊富なクレアカーサへご相談ください。クレアカーサが、「ウチ+ソト+ニワ」のトータルデザインをコンセプトに、理想のマイホームづくりをお手伝いいたします。


オンライン無料相談やショールームでは、家づくりのプロが土地選びや資金計画、間取りの疑問・その他住まいに関するお悩みをうかがいますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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あらかじめご了承ください。

監修者情報 クレアカーサコラム編集部

クレアカーサコラム編集部

家づくりに役立つ情報をお届けしています。

住宅業界の専門性について

免許登録
  • 建設業許可番号 国土交通大臣 許可(特-5)第29052号 国土交通省
    宅建業免許証番号 国土交通大臣(15)第810号 国土交通省
資格情報
  • 一級建築士、二級建築士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、インテリアコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、茨城県木造住宅耐震診断士ほか
受賞歴
  • ・ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー 優秀賞を2シリーズでダブル受賞 ・三協アルミ ワンダーエクステリアデザインコンテスト2019 ブロンズデザイン賞 ・ZEHビルダー評価制度で最高ランクの6つ星を取得 等