家の寿命は何年?長寿命化する方法|100年超えの条件について
これから家を建てる方や、今のお住まいをリノベーションしたい方にとって、その家にあとどのくらい住めるかは大きなポイントですよね。
家の寿命によって工事の予算を検討したい方も多いでしょう。
そこで、今回は家の寿命やそれを伸ばす方法について詳しく解説します。
マイホームの新築やリノベーションを後悔したくない方は、最後までぜひご覧ください。
コラムのポイント
- ●これまで日本の住宅は外国よりも寿命が短いとされてきましたが、近年、その傾向が変わりつつあります。
- ●家の寿命を伸ばすためには、劣化対策や耐震性、省エネ性、断熱性などの点において、高い水準をクリアすることが重要です。
- ●クレアカーサは、千葉県・茨城県で「敷地の条件」「予算の条件」「家族の条件」全てを実現できる高性能住宅を数多く手がけています。
目次
「家の寿命=耐用年数」ではない
家の寿命を考える際に、よく使われるキーワードが「耐用年数」です。
寿命=耐用年数と考えている方も多いでしょう。
確かにそれは間違いではありませんが、厳密に言うと意味合いは少々異なります。
「耐用年数」とは、税法上の用語で“通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげられる年数”、簡単に言うと「通常通りに使えて資産価値を維持できる年数」を指します。
住宅の耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって、構造種別・用途ごとに年数が決められています。
構造種別 | 建物用途別耐用年数 |
---|---|
木造 合成樹脂造 | 事務所:24年 店舗用・住宅用:22年 |
木骨モルタル造 | 事務所:22年 店舗用・住宅用:20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 | 事務所:50年 住宅用:47年 |
ポイントは、これら省令で定められている耐用年数は、実際にその建物が物理的にもつ年数と必ずしも等しいとは限らない点です。
あくまでも、耐用年数は税法上で減価償却できる期間を表す目安でしかありません。
そのため、耐用年数がその家の建て替え時期と一緒ではないのです。
日本と外国で家の寿命はどのくらい違う?
ヨーロッパなどでは、100年以上リノベーションを繰り返して住み続けられている住宅をよく見かけます。
では、日本と外国で家の寿命はどのくらい違うのでしょうか。
国土交通省が1998年にまとめたデータによると、日本の家における平均寿命は「38.2年」程度としています。(2018年調べ)
一方、アメリカは「55.9年」、ヨーロッパは「73.2年」と、その差は歴然です。
日本では、1950年以前に建てられた現存住宅が全体の4.9%なのに対して、特に住宅が長寿命なイギリスでは、1950年以前に建てられた住宅は44.9%も残っているというデータもあるほどです。(参考:国土交通省|長持ち住宅の手引き)
これだけ見ると、日本の建築技術が劣っているように見えるかもしれませんが、決してそうではありません。
日本における家の寿命が諸外国よりも短い理由は、技術の差ではなく、気候特性や災害頻度、国民性の違い、歴史的背景など、様々な要因があるためです。
日本で家の寿命が短い理由
日本の家は諸外国よりも寿命が短い理由には、以下の点が挙げられます。
- ・地震や台風などの自然災害が多い
- ・高度経済成長期に急ピッチで住宅が大量に建設された
- ・これまで“新築志向”の人が多かった
では、それぞれ詳しく見てみましょう。
自然災害が多い
気象庁の公表によると、一年の間に日本へ接近する台風の数は、なんと「11.5個」にも上ります。(参考:一般財団法人 国土技術研究センター)
また、世界的にも地震発生率が高いことも事実で、中国やインドネシアに続く多さです。
そのため、これまで建てられた住宅がそれらの被害を受けて破損・倒壊してきた歴史があります。
また、被災時に周辺への二次被害を防ぐために、軽量な木造住宅が建てられてきたため、ヨーロッパで多くみられる石造りやレンガ造りの家と比べると寿命が短くなる点は否めません。
近年は、木造住宅における耐震・免震・制振技術が発達し、建築資材も進化していることから、長寿命を目的とした住宅が多く建てられています。
高度経済成長期に急ピッチで住宅が建設された
1955年から1973年まで、日本は高度経済成長期を迎えました。
それに伴い、都市部に人口が集中し、1955〜65年だけで東京圏の人口は500万人以上も増えたとされています。
そのため、住宅供給が急ピッチで行われ、低品質な木造住宅が高密度で建てられたのです。
これらの住宅は耐震性に配慮されておらず、十分な居住スペースも確保されていなかったため、徐々に建て替えられていきました。
都市部で築70年を超える戸建住宅があまり残っていないのは、このような背景が要因と言えるでしょう。
総務省が2018年に調査したデータによると、1970年までに建てられた住宅は「9%」ほどしか現存していないことも分かっています。(参考:総務省| 平成30年住宅・土地統計調査|住宅及び世帯に関する基本集計)
これまで“新築志向”の人が多かった
日本人の国民性とも言えるのが、根強い「新築志向」です。
「誰かが住んでいた名残が残っているのはなんとなく気になる」「せっかくなら“まっさら”な家に住みたい」という方が多く、中古住宅を購入してリノベーションするという方法は、妥協策とされてきました。
築年数が経てば経つほど、資産価値が大幅に下がる点も一因と言えるでしょう。
ところが、欧米では、古い住宅をリノベーションして売却したり住み続けるのが当たり前で、築年数によって住宅の資産価値は日本ほど下がりません。
そのため、築100年を超える住宅が数多く現存しています。
諸外国と既存住宅(中古住宅)の流通量を比較すると、やはり日本は格段に少ないのは明白です。
2015年に政府が行なった世論調査でも、相変わらず新築住宅や新築マンションを求める方が過半数を占めています。
しかし、近年は中古住宅・中古マンションのリフォーム需要が増えていることから、今後は新築住宅の長寿命化がより一層重要視されることが考えられます。(参考:国土交通省|建築物リフォーム・リニューアル調査報告)
100年超も叶う長寿命住宅にするためのポイント|新築・リフォーム
これまで、「日本の家は寿命が30年程度」と言われてきましたが、技術の進歩によって、その年数は確実に伸びています。
国土交通省の公表している「基礎・躯体に係る期待耐用年数の目安」によると、性能や仕様次第では、“寿命100年超”も夢ではありません。
ずばり、家の寿命を伸ばすためのポイントは、「長期優良住宅」の条件をクリアすることです。
長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅です。
(引用:国土交通省|長期優良住宅のページ)
長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。
これは、新築の場合も既存住宅をリフォーム・リノベーションする場合も同様です。
国土交通省の作成した資料によると、長期優良住宅の水準を備えている住宅は、「基礎・躯体に係る期待耐用年数の目安」が一般的な戸建住宅と比べて、大幅に長いことが想定されています。
評価方法 | 期待耐用年数の目安 |
---|---|
戸建住宅価格査定マニュアルによる躯体耐用年数 | 下位グレード:30年 標準グレード:40年 上位グレード:50年 |
長期優良住宅認定制度における躯体耐用年数 | 劣化対策等級2グレード:50〜60年 劣化対策等級3グレード:75〜90年 長期優良住宅認定グレード:100年超 |
※こちらの資料は、宅建業者・金融機関における耐用年数を向上させる目的の資料であるため、寿命ではなく「耐用年数」と表記しています。
認定を受けなくても長期優良住宅の水準をクリアするだけで家の長寿命化につながりますが、自治体から認定されれば、補助金や減税特例の対象となり、さらに住宅ローン金利引き下げや地震保険料の割引も受けられます。(引用:国土交通省|長期優良住宅のページ)
では、実際にどのような性能要件を満たせば良いか、戸建住宅のケースについて紹介します。
「劣化対策」(シロアリ・雨漏り対策など)
劣化対策とは、何世代にも渡って住み継ぐために構造躯体の劣化を抑えることを指します。
認定を受けるためには、「劣化対策等級3」以上でなくてはいけません。
「劣化対策等級3」とは、“住宅が限界状態に至るまでの期間が3世代以上となるための必要な対策”をクリアできる水準です。
主な要件は以下のとおりです。
- 外壁の軸組等における防腐処理や防蟻処理
- 土台における防腐処理や防蟻処理
- 浴室や脱衣室における防水措置
- 地盤における防蟻処理
- 基礎における一定高さの確保
- 小屋裏における一定の換気量確保
そのほかにも、長期優良住宅の正式な認定を受けるためには、床下点検口や小屋裏の天井点検口の設置が条件です。(木造住宅の場合)
「耐震性」
長期優良住宅の水準を超えるためには、新築の場合、「耐震等級3」(木造住宅2階建て以下で壁量計算をする場合)をクリアしなくてはいけません。
耐震等級3をクリアしている木造(在来工法)の新築住宅は、2018年時点でおよそ92%なので、高い割合で実現しています。(参考:2018年度戸建注文住宅の顧客実態調査)
一方、既存住宅の場合は、耐震リノベーションによって「耐震等級1」をクリアすれば長期優良住宅としての認定を受けられます。
耐震等級3 | 数百年に一度程度起こる極めて稀な地震に対して、建築基準法施行令第88条第3項で定めた地震力の1.5倍程度を受けても、倒壊や崩壊しない程度の耐震性 |
耐震等級2 | 数百年に一度程度起こる極めて稀な地震に対して、建築基準法施行令第88条第3項で定めた地震力の1.25倍程度を受けても、倒壊や崩壊しない程度の耐震性 |
耐震等級1 | 数百年に一度程度起こる極めて稀な地震に対して、建築基準法施行令第88条第3項で定めた地震力を受けても、倒壊や崩壊しない程度の耐震性 |
「省エネ性」
家を長期間残すためには、地球環境への配慮も欠かせません。
そのことから、長期優良住宅には「断熱等級5 + 一次エネルギー消費等級6」を超えていることが求められます。
既存住宅をリノベーションする場合は、「断熱等級4」もしくは「断熱等級3 + 一次エネルギー消費等級4」が認定要件です。
断熱等級は、「UA値=外皮平均熱貫流率(外部と接した場所から逃げる熱の量)」で評価し、その数値が小さいほど断熱性が高く、等級も上位になります。
一次エネルギー消費等級は、設計仕様で算定した一次エネルギー消費量が、基準仕様で算定した一次エネルギー消費量をどれくらい下回っているかで評価されます。
BEI(設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量)の数値が小さいほど、等級が上がります。
「メンテナンス性」
家を長持ちさせるためには、定期的にメンテナンスしやすいことが重要です。
そのため、維持更新に対するどのような対策が取られているかがポイントとなります。
認定を受けるためには、新築・リノベーションどちらの場合も、「維持管理対策等級(専用配管)3」をクリアしていることが条件です。
維持管理対策等級(専用配管)では、以下の対策が講じられているかが評価されます。
維持管理対策等級3 | 給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするのに「特に配慮した措置」が取られている |
維持管理対策等級2 | 給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするのに「基本的な措置」が取られている |
維持管理対策等級1 | 給排水管、給湯管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするのに「その他の措置」が取られている |
上記以外にも、長期優良住宅の認定を受けるためには、以下の条件も満たしている必要があります。
●景観条例や街並み条例に該当する地域の場合は、これらの内容と調和していること
●一戸建て住宅の場合は、住戸面積が75㎡以上であること
●構造耐力上主要な部分・雨水の侵入を防止するための部分・給排水設備に関して、維持保全計画を立てていること
●災害リスクのある地域においては、行政の定めた措置を講じていること
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