新築に取り入れたい西日対策|西向きの特長とは
土地の購入から新築一戸建てを検討している場合、西向き・南向きなどの方角は「住まいの環境」に大きな影響をあたえます。
その中でも西向きの土地や空間では、夏の西日の強さなどに注意しなければならないポイントがあります。
特に購入する一戸建ては賃貸とは違い、10年・15年…と長く家族が集う空間となります。
そのため「建物の快適性を守る工夫」を取り入れることがとても大切なのです。
今回は「西向きの土地の工夫」「西日からのダメージを削減する対策法」などにクローズアップしてみましょう。
家づくりの中で取り入れられる西日対策から、環境面をサポートするアイデアまで幅広くご紹介します。
これからの家づくりに活かしていきましょう。
コラムのポイント
- ● 快適な住まいづくりのためには、建てる季節だけではなく「他のシーズン」も含めた対策を検討することが重要です。
- ● 西向きの土地にあるデメリットをメリットに変える工夫を家づくりの中から取り入れておきましょう。
Contents
そもそもなぜ西日対策が必要なの?
西日対策は、決して西向きの土地だけに必要というものではありません。
例えば賃貸の場合、建物の向きや間取りにより「西向きの部屋がない」状況も考えられますが、一戸建てでは「必ずどこかの面が西向き」になります。
購入時、「うちは西向きじゃないから・・・」と安易に考えていたため、暮らしてから「こんなはずでは・・・」と感じてしまうケースも少なくはありません。
では、実際に西向きの土地や西に面した空間とはどんな環境なのか。
そして、どんなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
西向きの部屋では
日本は北半球に位置しているため、東から昇った太陽は南に移動しながら西に沈んでいきます。
そのため西向きの部屋では、午後から夕方にかけて太陽の日差しが差し込んでくるのです。
引用:LIXIL
太陽の光は1日を通していろいろな方角から当たりますが、特に西日は高度が低く、部屋の中に入りやすいことが分かります。
また低い位置から入り込むことにより、ひとつの対策では補いきれないケースも考えられるのです。
近年は夏の暑さも厳しくなりつつあります。
しっかりと対策をしなければ不快感の原因となるだけではなく、住宅の寿命などさまざまな部分に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
西向きのデメリット①「部屋が暑くなりやすい」
西向きの部屋で感じる1番のデメリットは、「暑くなりやすい」という部分でしょう。
「暑い=日差しが強い」と感じがちですが、一概にそうとはいいきれません。
朝、太陽が昇り1番気温の上がる昼過ぎまでの間に「地面や空気、建物の屋根や壁などが温められ、室内へ」と伝わります。
それらの輻射熱に加え、角度が近い場所から光が当たることで「空間の温度が上昇」しやすくなるのです。
そのため西向きの部屋では暑くなりやすく、場合によっては暑苦しいと感じるケースが増えてしまいます。
西向きのデメリット②光熱費がかかるケースがある
部屋の気温が上昇することで、夏場は冷房が欠かせなくなります。
特に暑くなりすぎた部屋では冷房が効いていることが感じづらく、どうしても設定温度が下がりがちです。
冷たさを感じづらくなる・冷房をかける時間が長くなるなどの結果、「光熱費の上昇」という負担につながるケースがあります。
西向きのデメリット③紫外線の影響を受けやすい
日頃何気なく浴びている太陽光線には、紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)の3つが含まれています。
特に紫外線は、「海に行って遊んでいたら日焼けをしてしまった」など、浴びることのダメージをイメージしやすいでしょう。
この紫外線のダメージは人体だけではなく、
○ 外壁の塗装が劣化してしまった。
○ 日差しが当たる部分の床が変色してしまった。
○ カーテンが色褪せる・劣化してしまった。
など、住宅の内・外にも影響が現れます。
特に外壁などは劣化が進むことで、木材の腐食や金属のサビを招き、家の寿命を縮めてしまう可能性を高めます。
西向きの土地の場合、場合によっては南向きや北向きなどよりも注意が必要です。
「新築の家づくり」だからこそ、プランニングの中に上のようなデメリットを少しでも削減できるアイデアや工夫を取り入れることができるのです。
▶参考コラム>>住宅の方角メリット・デメリット【千葉で快適な住まいづくり】
デメリットだけじゃない!西向きのメリットとは
デメリットだけをみていると、「西向きの土地はちょっと・・・」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし西向きにはデメリットだけではなく「西向きだからこその良さ」があります。
西向きのメリット①冬が暖かい
夏は暑いなどのデメリットがある一方、秋や冬ではそのデメリットがメリットとして活きてきます。
何より西向きの部屋は、他の方角よりも暖かくなりやすいのです。
こちらはエアコンにかかる「消費電力例」になります。
消費電力とは、電化製品を動かすのに必要な電力量を指しています。
エアコンでかかる電気代は、室内状況により大きく変動します。
上の表でも分かるように、実は「夏の冷房よりも冬の暖房の方が電気代はかかる」のです。
例えば、エアコンの設定温度を26度とし、夏の室内温度を35度、冬の室内を10度と仮定します。
夏場の室内温度と設定温度の差は、35-26=9度
冬場の室内温度と設定温度の差は、26-10=16度
となり、同じ温度にするためには「冷房よりも暖房ではたくさんの電力が必要」となるのです。
確かに夏場の暑さはデメリットと感じてしまう部分はあるかも知れません。
しかし冬場が暖かいというメリットを知り1年を通じて考えてみると、暑いというデメリットも嫌なことばかりではないのです。
西向きのメリット②「夕日を長く楽しめる」
西向きの方向の部屋は、位置関係上「きれいな夕日をより長く楽しむ」ことができます。
そして夕日が部屋の中に入ることで、照明をつけなくてもよい時間も長くなり、より家計にも優しくなります。
その他にも、
○ 夕方まで洗濯物を干しておける。
○ 長く日が当たるため洗濯物も乾きやすく、布団も干しやすい。
○ 南向きのスペースも活用しやすい。
などのメリットがあります。
▶参考コラム>>千葉で注文住宅を建てる 土地価格の相場から住まいを考える
新築だからこそできる!西日対策とアドバイス
西向きの土地や部屋の環境を良くする工夫を施すことで、デメリットと感じることを少なくすることは可能です。
では実際に、「家づくりの前だからできる!」そんなアイデアをご紹介します。
西向きの方角では、西日が長くあたる、夏場の室温が下がりにくい部分がマイナス要素につながっています。
そのため西向きの場所になる部分に効果的な対策をすることで、快適性を高めること、安全性を維持することができるのです。
室内環境を高めるために
室内環境を保つためには、西日からあたる影響をどう室内に取り入れないようにするのかが重要です。
※ こちらでご紹介する施工事例は、西向きのスペースにぜひ取り入れたいアイデア例です。
そのため、実際の建物は西向きに設置していない場合があります。
窓に断熱ガラスを採用する
室内の温度を上昇させないポイントは、「窓からの熱を室内に伝えないこと」が大切です。
その際採用したいのが、「断熱ガラス」です。
断熱ガラスを採用することで明るさを取り込みつつ、熱を室内に伝えづらくなります。
また窓のデザインを上手に活用し、位置や形をアレンジすることができます。
例えば、西向きの空間の高い位置にスリット窓を付けてみましょう。
明るさを取り込みながらも窓の面積を減らすことで、外からの熱の伝わりを抑える効果も期待できるでしょう。
【施工事例:リビングにフリースペースのある シック&モダンスタイルの平屋】
またこちらのお住まいでは、スリット窓を縦に走らせ、室内の取り込む光を増やす工夫が施されています。
玄関やリビングなどの室内環境を保ちつつ、その上プライバシー面も保護できるスリット窓は、上手に活用したいアイデアのひとつです。
室内のインテリアに合わせた、カーテン・ブラインドを設置する
カーテンの柄や種類は建てた後で変えることはできますが、間取りのどの部分に設置するかなど「建てる時」だからこそ施せる対策もあります。
カーテンは種類により遮光レベルを調整することができます。
また、西日を上手に遮りつつ明るさを室内に取り込みたい方はブラインドがおすすめです。
ブラインドは角度が調節できるものを選んでみましょう。
室外からの西日対策
室外からの対策としては、「簾(すだれ)」「シェード」「オーニング」「グリーンカーテン」など、室内に日差しを入りづらくする対策が有効的です。
深いモスグリーンのガルバリウム鋼板を使用した外観。
サンシェードを付けたダークブラウンのパーゴラは、デザイン性を重視しつつも、日差しを遮ってくれます。
【施工事例:セミオーダー×西海岸スタイル リビングに書斎のある家】
またこちらのお住まいでは、リゾート地で過ごす休日のような心地良さを演出してくれるタープが設置されています。
先程のパーゴラよりも角度を持たせられるので、日差しを遮りつつ室内のプライバシー保護にも役立ちます。
同じ「遮る」ということでも、たくさんの方法があります。
外観のデザイン面も重視しつつ、上手な西日対策を検討していきましょう。
▶参考コラム>>【防犯性能アップにも期待できる】スリット窓ってどんな窓?
まとめ:快適な家づくりのためには、プランからの検討が重要です
今回は、「西向きの土地の家づくりのための工夫」や「西日からのダメージを削減する対策法」などにクローズアップしてきました。
このように西日対策とひとことで表しても、方法やアイデアはたくさんあります。
西日の当たる空間に対して、何を遮断したいのか。
そしてその空間でどのように過ごしたいのかにより、セレクトしたいものは違ってきます。
西日対策で重要なことは、「遮熱」「遮光」「UVカット」などの面から検討していくと決めやすくなります。
また一戸建ての場合、どこかの面が必ず西向きになります。
外壁や屋根など、強い日差しにも対応できる素材をセレクトすることも方法のひとつです。
クレアカーサでは、お客様の小さな声も形にするお手伝いをしています。
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クレアカーサ(CREACASA)は、イタリア語で”家 ・ 家族を創り出す”という意味を示しています。
監修者情報 クレアカーサコラム編集部
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住宅業界の専門性について
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- 建築士事務所登録番号 千葉県知事登録 第1-1907-7917号 公益社団法人 千葉県建築士事務所協会
建設業許可番号 国土交通大臣 許可(特5)第29052号 国土交通省
宅建業免許証番号 国土交通大臣(15)第810号 国土交通省
資格情報
- 一級建築士、二級建築士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、
宅地建物取引主任者、インテリアコーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士他
受賞歴
- ・ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー 優秀賞を2シリーズでダブル受賞
・三協アルミ ワンダーエクステリアデザインコンテスト2019 ブロンズデザイン賞
・ZEHビルダー評価制度で最高ランクの6つ星を取得 等
- 建築士事務所登録番号 千葉県知事登録 第1-1907-7917号 公益社団法人 千葉県建築士事務所協会