ビルトインガレージ・インナーガレージのある家|間取り図から見るポイントとおしゃれな施工事例
「ビルトインガレージのある家を建てたい」と計画中の方のために、今回は「ガレージハウス」のメリットとデメリット・注意点を詳しく紹介します。
多くの方から寄せられる費用や固定資産税、将来的なリフォームについてなど気になる疑問にもお答えします。
クレアカーサがこれまで手がけた施工事例を交えながら、間取りのポイントやおすすめ設備も紹介しますので、これからマイホームを建てる方はぜひ参考にしてください。
コラムのポイント
● ビルトインガレージやインナーガレージがある家は、利便性や防犯性においてメリットがあります。
● ビルトインガレージやインナーガレージのある家を後悔しないためには、デメリットとその対策、間取りや設備選びのポイントを知っておくことが重要です。
● クレアカーサは、千葉県で省エネ性の高い「ガレージハウス」を数多く手がけています。
ビルトインガレージ・インナーガレージのメリット
【施工事例:バイクガレージとロフトのある、子育てを楽しむ住まい】
ビルトインガレージとインナーガレージに言葉の違いはなく、どちらも住宅の一部に駐車スペースが組み込まれている間取りを指します。
ガレージのある住宅を「ガレージハウス」と呼ぶ場合もあります。
ガレージシャッターで個室のようになっているクローズドタイプとシャッターが無く内部が外から見えるオープンタイプがあり、それぞれ異なるメリットがあります。
- ● 建物からガレージまでの距離が近い
- ● 愛車に雨・雪がかからない
- ● 雨・雪に濡れずに車へ乗り降りできる
- ● 雨・雪が降っている時の屋外作業場としても活用できる(DIYやアウトドア用品の手入れ、ペットのブラッシングなど)
- ● 防犯性が高く、いたずら・盗難などから愛車を守れる
- ● 砂ぼこりなどからも愛車を守れる
- ● 海に近いエリアに家を建てる場合は、塩害から愛車を守れる
- ● 外で使う道具やアイテムなどの収納場所としても使える(DIY用品やガーデニング用品、ペット用品、子供の遊具、自転車など)
- ● 車が家にあるかどうかが外部から分からないため、防犯面で効果がある(不審者にとって在宅か不在かが分からない)
- ● スムーズに車を出し入れできる
- ● シャッターの開閉音が気にならない
- ● クローズドタイプよりもコストを抑えてガレージのメリットを手に入れられる
このようにガレージハウスは車を大事にする方にとって、いくつものメリットがあるのです。
そのため、世帯ごとの自家用車所有台数が多いエリアではビルトインガレージやインナーガレージを備えた住宅が数多く建てられています。
【おすすめコラム】新築一戸建ての相場は?庭つき・ガレージ付き住宅や平屋のおすすめ間取りポイント
ビルトインガレージ・インナーガレージのデメリット
玄関を出てガレージまですぐにアクセスできるビルトインガレージやインナーガレージには、利便性においてメリットがたくさんありますが、同時に間取りへ取り入れる前に知っておいていただきたいデメリットもあります。
では、それぞれ対策方法と併せて紹介します。
1階の居住スペースが狭くなる
1階の一部をガレージスペースにするため、必然的に1階部分の居住スペースは狭くなってしまいます。
そのため、狭小地にガレージハウスを建てると生活の中心が2階になり、不便さを感じてしまう可能性があります。
車1台用ガレージは5坪程度、2台用でしたら10坪程度のスペースが必要です。
そのため、居住空間を圧迫せずにガレージを作りたい方は広めの敷地を手に入れやすい郊外がおすすめです。
既に土地が決まっている場合は、まず1階にどのような空間を配置したいのか考えてみましょう。
場合によっては家とガレージを切り離した間取りの方が良いかもしれません。
新築費用が高くなる
一般的には収容台数1台分のビルトインガレージを作るのに「プラス150〜300万円」程度、収容台数2台分でしたら「プラス200〜350万円」程度の費用がかかります。
※施工内容や材料の種類によって費用が大きく変わる場合があります。
またビルトインガレージは建物の一部とみなされるため、建築面積・延床面積に算入される可能性が高く、その分広い土地が必要です。
そのため、ガレージハウスは同じ面積の居住スペースの住宅と比べると新築費用は高くなってしまいます。
まずは、ガレージハウスにして得られるメリットをリストアップすることから始めましょう。
ビルトインガレージがある場合とない場合の価格差を踏まえ、費用をかけてもコストパフォーマンスの高さを感じられるかチェックするのがおすすめです。
「ガレージシャッターをつけない」「棚などの収納はつけずにシンプルなガレージにする」など、価格を調整する方法もありますので、コストを少しでも抑えたい方は建築会社へ相談しましょう。
耐震面で工夫が必要
1階にビルトインガレージがある、つまり大開口がある住宅は2階以上の荷重を支えるために、耐震面で工夫が必要です。
そのため、ガレージ造作やシャッター取り付けにかかる費用の他に耐震補強などにもコストがかかる可能性もあります。
ビルトインガレージのある2階建て以上の家を建てたい方は、設計や施工の実績が豊富な建築会社へ相談しましょう。
ガレージ部分に上からの荷重がかからない平屋建てにするのもおすすめです。
死角が増える
周りを壁に囲まれているビルトインガレージ、特にシャッター付きのクローズドガレージは、侵入者をブロックできるため、防犯面に優れています。
ただしシャッターが開いたままになってしまうと誰でも侵入できてしまうため、奥まで入られてしまうと外から中の様子が見えにくくなってしまいます。
クローズドガレージ・オープンガレージどちらの場合も、ガレージを囲う壁に窓やスリットを設けるなど、中の様子が外からでも確認できるデザインにしましょう。
少しでも中の様子が見えることで泥棒にとっては「犯行がのぞかれるのでは」という不安材料になり、抑止力となります。
夜間の侵入を防ぐために人感センサー付きライトを数箇所に設置しておくのもおすすめです。
広さが不十分だと使わなくなる
「せっかくガレージを作ったが、駐車スペースがぎりぎりで車を出し入れしにくい」「物を置き始めたら車を止められなくなった」という悩みを持つ方は少なくありません。
また、住み始めてから車を買い替えたら車がガレージに入らなくなったという事例もあるようです。
ハウスメーカーなどでは1台用ガレージ・2台用ガレージと目安の広さを提案しますが、車種や収納したいアイテムによって必要なスペースは異なります。
また、ベビーカーや車椅子を車の近くまで乗り入れたい場合にも余裕を持った駐車スペースが必要です。
そのため、ガレージをどのように使いたいかやどのような車を停めたいのかを必ずチェックしましょう。
ビルトインガレージ・インナーガレージを作る際の間取りと設備のチェックポイント
ここで、ガレージハウスを後悔しないために押さえておきたいポイントを紹介します。
玄関からの動線をチェック
まずは玄関からガレージまでの動線長さや段差をチェックしましょう。
大きい荷物を運ぶことも想定して、余裕のある幅を確保できるかも確認してください。
玄関のすぐ脇にガレージがあっても車の後ろを回り込まなくてはいけないようでは、スムーズに家へ入れません。
また動線が短くても、何段もステップを上り下りしなくてはいけない場合も要注意です。
最近はガレージからシューズインクローゼットや台所へ直接アクセスできる勝手口をガレージ内に取り付ける間取りが人気です。
室内との位置関係をチェック
最近増えているのが、室内からガレージ内部を眺められる間取りです。
ガレージとの間に大きな窓を設ければ、愛車もインテリアアイテムの一つとなります。
また夜間などでもガレージの様子を室内から確認できるため、防犯面でも安心です。
ガレージの広さをチェック
車を出し入れしやすく人が乗り降りしやすいガレージにするためには、十分な広さを確保できているかチェックする必要があります。
ちなみに、国土交通省が定めている公共駐車場における最低必要寸法は以下のとおりです。
(車の種類) | (駐車スペースの最低長さ) | (駐車スペースの最低幅員) |
軽自動車 | 3.6m | 2.0m |
小型乗用車 | 5.0m | 2.3m |
普通乗用車 | 6.0m | 2.5m |
(参考:国土交通省|駐車場設計・施工指針について)
この寸法に加えて、最低でも左右前後に乗り降りや車にアクセスするための通路となる「幅50cm」、ゆったりとしたガレージにしたい場合は「幅1m」のスペースが必要です。
このスペースには収納や駐輪のための場所は含まれないので注意しましょう。
ガレージから前面道路の経路をチェック
ガレージと前面道路との位置関係(角度)も必ずチェックしてください。
前面道路幅が4m以下の場合は、道路に対して直角のガレージは駐車できない可能性があります。
前面道路の幅員が狭い場合はガレージ前に車の向きを変えられるスペースを確保するか、道路と平行になるように駐車するガレージにするかを建築会社と検討しましょう。
必要な設備をチェック
ガレージをより便利に使いやすくするためには、設備についてもじっくり検討する必要があります。
主におすすめの設備は以下の通りです。
- ● ガレージ内で作業するのに必要な光量のある「照明器具」
- ● 一酸化炭素中毒を防ぐために必要な「換気設備」
- ● 車を洗うのに便利な「立水栓」や、洗い物もできる「屋外用シンク」
- ● DIYや車の整備をするための「収納棚」や「作業台」
- ● DIYなどするための「コンセント」
- ● EV(電気自動車)を充電するための「コンセント」
- ● 防犯面に特化した「防犯カメラ」や、開閉操作や開閉履歴の確認をスマホでできる「スマート電動シャッター」(例:LIXIL|My Window)
【間取り図施工事例】ビルトインガレージ・インナーガレージのある家
クレアカーサではビルトインガレージやインナーガレージのある家を数多く手掛けてきた実績があります。その中から一部を紹介しますので、ぜひ家づくりの参考にしてください。
【平屋・延べ床面積30坪】
【施工事例:大好きなインテリアに囲まれた アメリカンスタイルの平屋】
延べ床面積 |
110.96m² (33.56坪) |
敷地面積 |
267.36m² (80.87坪) |
こちらは、シンメトリーの大屋根と玄関ポーチも兼ねたカバードポーチがアメリカンな印象の事例です。
玄関脇に配置したガレージの中には、シューズインクローゼットへ直接アクセスできるドアを取り付けました。これなら買い物から帰っても靴を履いたままで荷物を家の中まで運べますよね。
ガレージの壁には高さを自由に変えられるオープン棚を配置したので、細かい物から大きな物まで、スペースを無駄にすることなく収納できます。
【2階建て・延べ床面積35坪】
延べ床面積 |
119.84m² (36.25坪) |
敷地面積 |
317.99m² (96.19坪) |
こちらは、ガレージに隣接したリビングから愛車を眺められるようにした事例です。大きな窓の隣にはドアも取り付け、車を降りて直接LDKへアクセスできます。
リビングの中央には床を一段下げたダウンリビングを作り、ワンちゃんと一緒に床へ直接座ってくつろげる点もポイントです。
【2階建て・延べ床面積40坪】
【施工事例:ダウンリビングを愉しむ 白い塗り壁のガレージハウス】
延べ床面積 |
136.62m² (41.32坪) |
敷地面積 |
195.24m² (59.06坪) |
こちらは敢えてシャッターをつけず、両側の壁も大きく開けて開放的なガレージにした事例です。暗くなりがちなガレージですが、このような空間にすると風が通り光の差し込む明るい空間となります。
もちろん玄関ポーチまでは傘を刺さずにアクセスできますし、庭からもガレージへ行きやすい点もポイントです。
ファサードデザインはまさに家の顔となる部分です。そのため、玄関前に配置した目隠しの壁やガレージの脇の植栽など素材感が異なる材料を組み合わせ、スタイリッシュな外観デザインに仕上げました。
【2階建て・延べ床面積60坪以上】
延べ床面積 |
242.25m² (73.28坪) |
敷地面積 |
828.13m² (250.50坪) |
こちらは東京湾を一望できる高台に建てられた別荘の事例です。ガレージの脇には外で使って汚れたものもどんどん収納できる大きなシューズインクローゼットを配置しました。
玄関とは反対側にガレージをレイアウトしたため、家に入る際に大きく回り込まずに済むように、ガレージ横に靴をしまえる収納付きの勝手口を作った点もポイントです。
【ビルトインガレージ・インナーガレージに関するFAQ】騒音・固定資産税・リフォーム
最後に、ガレージハウスの新築を検討している方からよくいただく質問を紹介します。
Q.ガレージシャッターで騒音トラブルになるって本当?
A.メンテナンスを怠ると開け閉めするたびに大きな音が出る可能性があるので注意しましょう。
昔のガレージシャッターは風で揺れてバタバタとした音が出たり、開閉時に大きいな音が出たりするデメリットがありましたが、最近は静音仕様の物を採用することが一般的なのでご近所トラブルまで発展することは少なくなりました。
ただし、定期的なメンテナンスを怠ると、稼働音が大きくなって、早朝・深夜に開け閉めすると音が響いてしまう場合もあります。
特に海に近いエリアは塩害によってシャッターの金属部分が錆びて異音が出る可能性もあるため、こまめな点検が大切です。
Q.ガレージを作ると固定資産税が高くなるって本当?
A.建築基準法上、居室(室内)と同じ扱いになるため、その分固定資産税は高くなります。
屋根があり壁で3面が囲われているビルトインガレージは建築基準法上、居室と同じく建築面積・延床面積へ算入されます。
つまりその分、家屋にかかる固定資産税は高くなってしまいます。
ただし、同じ面積を居室にした場合と比べて税額が上がることはありません。
固定資産税が気になる方は、建築面積・延床面積に算入されないカーポートも検討しましょう。
一般的に「土地定着性(※)」「外気分断性(※)」「用途性(※)」の3つが揃うと、居室としてみなされる可能性があるので注意してください。
逆に、3つのどれかが欠けていると固定資産税に影響しない可能性もあります。
例えば、基礎がなく外周を壁で囲われていないカーポートは建築面積へ算入されないケースがほとんどです。
ただし、固定資産税に算入するかどうかの判断は自治体によって異なりますので必ず事前に確認してください。
※土地定着性:造作物に基礎があり、土地に“定着”していること
※外気分断性:屋根と3方向以上の壁で覆われていること
※用途性:居住など、駐車以外の目的でも使えるスペースであること
Q.ガレージを将来、部屋へリフォームできる?
A.施工上は可能ですが、数百万単位の費用がかかるケースが一般的です。
ガレージを居室へリフォームする場合は木工事・内装工事だけではなく、床・壁・天井の断熱工事が必要です。
そのため、リフォーム費用が数百万円単位になるケースも珍しくありません。
また、居室面積が増えるため、建築確認申請をしなくてはいけない可能性があります。
そうなると、その申請に必要な書類作成などの費用も想定しておく必要があります。
そのため、新築時に「将来居室へリフォームする」ことを前提にビルトインガレージを作るのは、あまりおすすめできません。
10年後・20年後・30年後のライフスタイルや家族構成を踏まえた上で、ガレージハウスの間取りをじっくりご検討ください。
ガレージハウスの新築は設計施工実績が豊富な会社へ相談を
【施工事例:シンプルだから美しい 白い塗り壁のサーファーズハウス】
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監修者情報 クレアカーサコラム編集部
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住宅業界の専門性について
免許登録
- 建築士事務所登録番号 千葉県知事登録 第1-1907-7917号 公益社団法人 千葉県建築士事務所協会
建設業許可番号 国土交通大臣 許可(特5)第29052号 国土交通省
宅建業免許証番号 国土交通大臣(15)第810号 国土交通省
資格情報
- 一級建築士、二級建築士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、
宅地建物取引主任者、インテリアコーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士他
受賞歴
- ・ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー 優秀賞を2シリーズでダブル受賞
・三協アルミ ワンダーエクステリアデザインコンテスト2019 ブロンズデザイン賞
・ZEHビルダー評価制度で最高ランクの6つ星を取得 等
- 建築士事務所登録番号 千葉県知事登録 第1-1907-7917号 公益社団法人 千葉県建築士事務所協会