【内外装の板張り壁】メリット・デメリットと事例で見るデザインのポイント、費用相場を紹介
室内の壁や外壁の一部に「板張り壁」を採用する事例が増えています。
今回は「板張り壁」のメリット・デメリットや施工事例で見るデザインのコツ、後悔しないためのポイントを徹底解説します。
おしゃれな家を新築したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
コラムのポイント
● 板張り壁の材料は複数あり、それぞれコストや特徴が異なるため、じっくり選びましょう。
● 板張り壁を内壁や外壁に採用する場合はデメリットと対策を知っておくことが肝心です。
● クレアカーサは千葉県で板張り壁を取り入れたスタイリッシュ&高性能な住宅を数多く手がけています。
内外装に採用される「板張り壁」とは
【施工事例:大好きなインテリアに囲まれたアメリカンスタイルの平屋】
「板張り壁」とは、無垢板もしくは木目の化粧板などを仕上げ材として採用するデザイン手法です。
最近は、コスト削減と工期短縮を目的に、木目のクロスを用いる事例も増えています。
何を仕上げ材に選ぶかによって特徴が異なるので、ご予算やお手入れ方法の違いを紹介します。
(板張り壁の材料) | (特徴) |
ビニールクロス (木目クロス) |
コスト:安め 見た目:木目はプリント 耐久性:定期的に張り替えが必要 |
羽目板 (無垢材) |
コスト:高め 見た目:天然木そのもの 耐久性:経年変色・変形リスクあり、汚れが付きやすい |
突板・挽板化粧板 |
コスト:高め(羽目板よりも安い) 見た目:天然木そのもの 耐久性:経年変色あり |
ポリエステル・プリント化粧板 |
コスト:安め(クロスよりも高い) 見た目:木目はプリント 耐久性:プリントの褪色あり |
※価格は建築会社によって異なりますので、事前にご確認ください。
クロス(木目クロス)
最近は壁紙の印刷技術は進歩しており、遠目では本物の板材と違いが分かりづらいところまで来ています。
木目や色ムラも自然で、デザインのレパートリーが豊富な点はメリットと言えるでしょう。
また、パネル材を施工するよりも施工効率が良いため、コストも抑えられます。
表面に耐汚・耐キズ加工が施されているものがあるため、キズや汚れの付きやすい壁面にもおすすめです。
ただし、経年によって継ぎ目が徐々に開き、端から剥がれてくることも珍しくないため5〜10年に一度の張り替えを想定しておきましょう。
羽目板(無垢材)
天然木材を板状に加工した材料を羽目板と言い、それを壁材として使うケースもあります。
自然素材ならではのナチュラルな色合いやランダムな木目、重厚感が魅力です。
また、無垢材の持つ調湿効果や断熱・遮音効果をプラスできる点も重要なポイントです。
ただし日焼けによる変色や湿度変化による伸縮・反りが起こりやすく、設置場所によっては施工後に継ぎ目が目立ってくるケースも珍しくありません。
またスイッチ周りなどは手垢で黒ずみやすく、中性洗剤を使うとシミが残る可能性があるため注意しましょう。
ただしビニールクロスよりもキズに強く、浅いキズであれば紙やすりで削って目立たなく補修することもできます。
突板・挽板化粧板
突板は厚さ0.2〜0.3mm、挽板は厚さ2〜3mmと無垢材を薄くスライスした素材で、そちらを合板などへ圧着したものが突板・挽板化粧板です。
表面の木目や色合いは天然木そのもので無垢材ほどではないものの、断熱性や遮音性があります。
表面にUV塗装などのコーティングが施されているものも多いため、無垢材よりも擦り傷や汚れがつきにくい点がメリットです。
また無垢材ほど湿度変化によって変形するリスクは高くなく、寸法安定性に優れています。
ただし、表面が天然木であることから経年変色は避けられません。
ポリエステル・プリント化粧板
表面材がポリエステル材やウレタンコート紙で、そこに木目をプリントした化粧板です。
プリントされた木目なのでビニールクロスのように質感は本物と比べると平滑で単調ですが、羽目板材や突板・挽板化粧板よりも安価で、ビニールクロスのように定期的な張り替えは必要ありません。
ただし羽目板材や突板・挽板化粧板ほどではないものの、紫外線による色褪せが目立つものもあるため注意しましょう。
住宅の外壁仕上げ材として使えるものは、基本的に「羽目板」です。
ウッドサイディングなどの名称として売られているものもあります。
室内壁には「ビニールクロス、羽目板、突板・挽板化粧板、ポリエステル・プリント化粧板」いずれもご選定いただけます。
板張り壁のメリット
インテリアや外観デザインへ板張り壁を取り入れるメリットを紹介します。
高級感をプラスできる
単調になりがちな壁面へ板張り壁を採用すると、デザインのアクセントとなり雰囲気に高級感をプラスできます。
室内の場合は、フローリングや家具と木目や色合いを揃えると洗練されたまとまりあるインテリアデザインに仕上がります。
羽目板・パネル張りは部分張り替えをしやすい
ビニールクロスの場合、キズや取れない汚れがついて部分張り替えしようとしても、同じ壁紙が廃盤になっていたり、残った材料で補修しても部分張り替えした部分が目立ったりしてしまいます。
そのため、デザイン性を維持するためには壁全面を張り替えしなくてはいけません。
化粧板も同様の問題が起こる可能性があります。
一方、もともと色合いや木目がランダムな羽目板は一枚だけ張り替えても目立ちにくく、太陽光や照明光に当たればすぐに他の部分との色違いが気にならなくなります。
羽目板は廃盤にならない
天然素材である羽目板材は、基本的に廃盤になりません。
特に、よく住宅の壁材として用いられる杉材は国内で多く生育・製造されているため安定かつ継続して入手できます。
一方、工業製品であるビニールクロスや化粧板は数年経つと廃盤になり、同じ材料を手に入れられない可能性があるのです。
ただし、定期的に張り替えるのであれば廃盤になる製品でも違うインテリアデザインを楽しめるため、それほど大きな問題ではないでしょう。
羽目板には調湿・リラックス効果がある
天然木材である羽目板は、部屋の湿度が高い時には水分を抱え込み、乾燥している時にはそれを放出する調湿性能を持ちます。
そのため、室内壁の広い面積を板張りにすると空間の快適性がアップします。
また、杉や檜(ひのき)など香り成分を多く含む樹種には脳活動や自律神経活動を穏やかにする効果を期待でき、木材は差し込む陽の光を吸収して目への負担を軽減することも分かっています。(参考:林野庁|木材は人にやさしい)
本物の質感にこだわるなら「羽目板、突板・挽板化粧板」がおすすめです。
対して、インテリアデザインを定期的に変えたい方やコストを抑えて板張り壁を室内へ取り入れたい方は「ビニールクロス、ポリエステル・プリント化粧板」をまずご検討ください。
板張り壁のデメリット・注意点と対策
板張り壁はデザイン性や機能性の面においてメリットがあるものの、事前に知っておいていただきたいデメリットにも注意しましょう。
では、内外壁に共通する点と内壁・外壁それぞれのデメリットと対策を紹介します。
内外壁共通
「コストアップ」
新築・リフォームともに、材料費と工事費を合わせると他の仕上げよりも高くなってしまいます。
(内壁の仕上げ材) |
(平米単価) ※材料費+工事費 |
ビニールクロス | 1,000〜3,000円/㎡ |
羽目板 | 13,000〜20,000円/㎡ |
化粧板 | 8,000〜18,000円/㎡ |
(外壁の仕上げ材) |
(平米単価) ※材料費+工事費 |
モルタル塗装仕上げ | 5,000〜8,000円/㎡ |
金属系サイディング | 8,000〜12,000円/㎡ |
板張り壁 (ウッドサイディング) |
8,000〜14,000円/㎡ |
※上記価格は目安です。材料や施工面積によって変動します。
室内外ともに「板張り壁」はコストが高くなりがちですが、ご予算に合わせてアクセントとして取り入れるなど、面積を調節できます。
どこへ取り入れるかによってデザインイメージが変わるため、設計施工実績が豊富な建築会社へ相談しましょう。
内壁
「素材によって下地や納まりが違う」
仕上げをビニールクロスか羽目板、化粧板にするのかによって、下地の強度や厚さが異なります。
そのため、リフォームで後から仕上げ材を変えるとなると下地からやりかえなくてはいけません。
板張り壁は、新築時もしくはフルリノベーション時に採用するのがおすすめです。
部分的なリノベーションでも採用できますが、施工費が割高になるため注意してください。
「圧迫感が出やすい」
一般的なホワイト系の明るい壁と比べると、板張り壁はどうしても圧迫感がでてしまいます。
そのため、トイレなどコンパクトな空間へ取り入れる際は仕上がりデザインを展開図などで事前に確認しておきましょう。
板張り壁は、アクセントウォールとして採用するのがおすすめです。
圧迫感が心配という方は、プランニングの時点で、建築会社のモデルハウスなどでイメージを確認しましょう。
「手垢などの油分汚れがつきやすい」
自然素材を好むの方から人気な羽目板張りの壁は、手垢などの油分汚れがつきやすいため、手がよく触れる場所やキッチンなど油はねのリスクがある場所に採用する際は注意しましょう。
樹種によっては、水ハネもシミになる可能性があります。
住み始めてからも壁をきれいに保ちたい方は、固く絞った布巾で拭き掃除をできる表面加工された突板・挽板化粧板やポリエステル化粧板がおすすめです。
部位によって、質感重視の羽目板材と掃除しやすいクロスなどを上手に組み合わせましょう。
外壁
「湿気のこもった場所はカビ・腐朽が発生しやすい」
外壁に羽目板を施工する際、北面や隣地境界線のフェンスの近い面は湿気がこもりやすいことが懸念されます。
木材が湿気にさらされつづけると腐朽菌やカビ菌が繁殖したり、柔らかく食べやすい木を求めてシロアリが増えたりします。
もちろん外部へ施工される木材には防虫剤や防腐剤が注入されていますが、その効果は永続的ではないため注意しましょう。
板張り外壁は、風通しが良く適度に日当たりの良い場所へ採用するのがおすすめです。
「雨や紫外線が当たると経年変色・表面風化する」
木材は、紫外線に当たると変色して表面が徐々に風化する樹種が大半です。
また、雨が直接当たる面は雨垂れのシミがつく場合もあります。
雨や紫外線の影響を最小限に抑えるためにも、インナーポーチやカバードポーチなど、屋根のかかった場所へ板張り壁を採用するのがおすすめです。
▶︎家づくりのヒントがいっぱい!カタログ無料プレゼントのお問い合わせ
板張り壁の成功事例から見るデザインのポイント
クレアカーサでは、内壁や外壁へ板張り壁を採用した事例を数多く手掛けています。
その中から特長的な事例を抜粋し、デザインのポイントと併せて紹介します。
内壁
「ヘリンボーン張りがスタイリッシュな事例」
【施工事例:セミオーダーで叶える カリフォルニアスタイルの家】
こちらは、規格住宅のリビングへアクセントとしてヘリンボーン張りの壁を取り入れた事例です。
コンセプトであるカリフォルニアスタイルのカジュアルでスタイリッシュな印象とうまくマッチしています。
ヘリンボーン張りを壁全面へ取り入れると圧迫感が出ますが、白い壁と組み合わせることで軽やかな印象に仕上がります。
「板張り壁と板張り天井の組み合わせがおしゃれな事例」
こちらの事例も、リビングのアクセントウォールとしてヘリンボーン柄の板張り壁を採用した事例です。
同じヘリンボーン柄でも、木目が目立つタイプとそうでないタイプによって、印象がかなり変わります。
リビングから続くキッチンにはリビングの壁と同じテイストの板張り天井を採用して、つながりを感じる統一感あるインテリアに仕上げました。
「床・板張り・梁・オープン階段をリンクデザインした事例」
【施工事例:広がりのある空間を叶えるスケルトン階段のある家】
こちらは、フローリング・板張り壁・梁、そして、リビングの一角に設置したオープン階段へ木目を統一した事例です。
要所に木目を取り入れることで、圧迫感を抑えながらも温もりと統一感を感じるインテリアデザインにまとめました。
梁を表し(あらわし)にして天井高を高くし開放感をプラスした点もポイントです。
▶︎おすすめコラム|見せ梁(化粧梁)を生かした家|メリット・デメリットや成功事例を解説
外壁
「シンプルな外観デザインに木目がアクセントとして際立つ事例」
【施工事例:セミオーダー×ZEH シンプルスタイリッシュな家】
こちらは、黒の金属系サイディングでシンプルモダンにまとめた外観の中に、インナーポーチの板張り外壁を採用した事例です。
クレアカーサでは、このように規格住宅へも板張り外壁を組み合わせていただけます。
雨が直接当たらないインナーポーチへ板張り外壁を採用することで、長期間きれいなままキープできます。
「板張り外壁とウッドデッキの組み合わせが美しい事例」
【施工事例:薪ストーブのある平屋スタイルのアメリカンハウス】
こちらは、L型の平屋建てに板張り外壁とウッドデッキを組み合わせた事例です。
板張り外壁部分には大屋根の庇が伸びているので、直接雨が当たりません。
ウッドデッキにはリビングと和室からアクセスできるため、ご家族が集うアウトドアリビング的な空間としてご活用いただけます。
▶︎おすすめコラム|アウトドアリビングの魅力と注意点は?後悔しないための間取り・設備ポイントやおしゃれな施工事例
「吹き抜けと板張り外壁でダイナミックな玄関ポーチにした事例」
こちらは、玄関ポーチを吹き抜けにして開放的な空間にした事例です。
四角いキューブ型住宅へインナーポーチを取り入れて外壁材を切り替えることで、凹凸感が生まれてスタイリッシュな印象に仕上がります。
玄関ポーチの梁も外観デザインのアクセントとして効いています。
【施工事例:毎日の暮らしにアクティブを 庭にブランコのある家】
閉塞的になりがちなインナーバルコニーは、玄関ポーチから板張り天井が続いているため、狭苦しさを感じません。
板張り壁をインテリアデザインや外観デザインへ取り入れる際は、施工事例をご覧いただき理想のイメージに近いプランを見つけましょう。
クレアカーサでは上記以外にも板張り壁を採用した事例がございますので、ぜひご覧ください。
板張りは天井に取り入れるのもおすすめ
ナチュラルな雰囲気のおしゃれなインテリアに仕上げたい方には、板張り壁だけではなく、「板張り天井」を取り入れたプランもおすすめです。
吹き抜けや勾配天井との相性がよく、温もりあるデザインの家を実現できます。
クレアカーサは板張り天井の採用事例も豊富なので、ぜひお気軽にご相談ください。
▶︎おすすめコラム|板張り天井を後悔しないためのポイント|材料種類やメリット・デメリット、成功事例を紹介
まとめ
【施工事例:リビングにフリースペースのある シック&モダンスタイルの平屋】
板張り壁は室内や外壁へ取り入れるとデザイン性が上がり、雰囲気が一味変わります。
また、調湿効果もあり、生活の質をアップさせる効果も期待できます。
ただし、採用する際には材料選びのコツや欠点を解消するポイントを知ることが重要です。
おしゃれで高品質な家を建てたい方には、板張り壁の施工事例が豊富で、なおかつ土地の特性や周囲の環境・ご要望・ご予算を踏まえてトータルデザインできる会社がおすすめです。
私たちクレアカーサ(株式会社日立プロパティアンドサービス)は、千葉県茂原市にある建築会社です。
デザイン性と省エネ性の両方を備えた「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」の普及へも積極的に取り組んでいます。
「デザインも性能もコストも諦めたくない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
▶︎太陽光発電システムを“実質0円”で導入できる「建て得」プラン
▶︎家庭用蓄電池なしでも災害時に家で電気が使える「そなえるでんき」プラン
▶︎ショールームや各種イベントのご予約・お問い合わせはこちら
▶︎家づくりのヒントがいっぱい!カタログ無料プレゼントのお問い合わせはこちらから
家づくりのアイデアや施工事例をアップしています。ぜひフォローください♪
監修者情報 クレアカーサコラム編集部
-
家づくりに役立つ情報をお届けしています。
・免許情報
・資格情報
・執筆出演
・受賞歴など
住宅業界の専門性について
免許登録
- 建築士事務所登録番号 千葉県知事登録 第1-1907-7917号 公益社団法人 千葉県建築士事務所協会
建設業許可番号 国土交通大臣 許可(特5)第29052号 国土交通省
宅建業免許証番号 国土交通大臣(15)第810号 国土交通省
資格情報
- 一級建築士、二級建築士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、
宅地建物取引主任者、インテリアコーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士他
受賞歴
- ・ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー 優秀賞を2シリーズでダブル受賞
・三協アルミ ワンダーエクステリアデザインコンテスト2019 ブロンズデザイン賞
・ZEHビルダー評価制度で最高ランクの6つ星を取得 等
- 建築士事務所登録番号 千葉県知事登録 第1-1907-7917号 公益社団法人 千葉県建築士事務所協会